2011.07.28 Thursday
【ご当地ネタ】仮の木の家
いわき市中央台のいわきニュータウンには、仮設住宅が建設されています。
仮設住宅と一口に言っても、工法は受注した業者さんによって様々です。
おなじニュータウン内でも、場所によって色々なタイプの仮設住宅が建っています。
もう既に入居されているところもあるようですが、まだ建築中のところもたくさんあります。
その中に、木造の仮設住宅があるということで、建築中の現場を見てきました。
並んでいます。
玄関側ですが、なんだが、軒も深くて、とても素敵じゃないですか?
個人的に、私が軒フェチということを除いたとしても、
軒が深いと、風雨も避けられますし、夏の直射日光が家に入ることを防ぎ、室内の温度上昇を抑えることができます。
なんと濡れ縁つき!
濡れ縁があると、外空間との繋がり方が全然違うんですよね。
軒もちゃんと濡れ縁までかかるようになっています。
軒下の濡れ縁は、植木屋的には、イチオシパーツです。
使用している材もしっかりしていて、多分、通常の住宅で使うのと同じ規格と思います。
仮設住宅解体後も、再度、利用できるように考えられたのでしょう。
横から見るとこんな感じです。
ううーん、カッコイイ…。
これを設計・施工をしたのはどなただろうと思って確認してみました。
監修・設計 筑波大学教授「安藤邦廣」さん
このお名前、聞き覚えがある…。
そうだ、以前私が読んで感動したお薦め図書、『小屋と倉』の研究室の先生じゃないですか!
ん~、よいお仕事されてますねぇ。
日本の伝統工法についてのご研究をされている先生のようです。
この設計の仮設住宅だと、かなり快適に過ごすことができるのではないか、と思っています。
こういう専門知識をいかしての被災地支援、とてもありがたいことだと思います。
残念ながら、木造の仮設住宅がすべてこのような作りなわけではありません。
別の木造仮設住宅だと、上の仮設に比べると、軒の出が浅かったり、屋根が低かったり、
屋根の素材が違ったり、玄関の構造や素材が違ったりします。
もちろん、後に紹介した仮設住宅に文句をつけるのではなく、最初に紹介した仮設住宅がそれだけよく考えられている、ということだと思います。
住まいを失われたり、ご自宅に帰ることができなくなってしまっている方達が、仮の住まいとはいえ、少しでも快適に、心落ち着いて過ごされることを、心から祈っています。
【放射線一口メモ】
セシウムが付着した藁を食べた肉牛から、基準値を超えるセシウムが検出された事が問題になっています。
肉牛の暫定基準値は、500Bq/kg です。
いちばん重要なのは、これを食べたことにより、私たちの身体にどれだけ影響を及ぼすのか、という点だと思います。
放射性物質の人体への影響を知るためには、「Sv(シーベルト)」に換算しないといけません。
ベクレルからシーベルトへ換算するための換算係数というものが、存在します。
各放射性物質ごとに、換算係数は違っています。
今回の牛で暫定基準値超えでもっとも高い数値を示したものが、4350Bq/kg
含まれる放射性物質がすべてセシウム137とすると、成人の換算係数0.013(μSv)
その牛肉を200g食べたとすると、
4350(Bq/kg)×0.2(kg)×0.013(μSv)=11.31(μSv)
1回間違って食べてしまうと、11.31(μSv) 被ばくする計算になるわけです。
今後も、人間への影響については、シーベルトに換算して理解する事、というのが、大切と思っています。
ちなみに、このシーベルト計算ですが、
「この計算だと、期間が一日なのか、一ヶ月なのかわからないから、不十分」という意見も見るのですが、
シーベルトというのは、その後ろに 「/d(一日あたり)」「/h(一時間あたり)」「/m(一分あたり)」という 但し書きがついていなければ、「すべての被ばく量」を意味します。
つまり、先ほど計算した肉牛の場合なら、その肉牛を食べて排出されるまでのすべての期間において受ける被曝量が、11.31μSv となります。
ちなみに、先ほどのセシウム137の換算係数ですが、2-7歳の子供の換算係数は0.0096(μSv)で大人より低い数値です。
これは、子供の方が新陳代謝が活発で、排出されるまでの期間が短くなるから、と言うことのようです。
放射性物質が体内に取り込まれた場合、通常の「(物理的)半減期」の他に「生物的半減期」も関係してきます。
物理的半減期は、セシウム137の場合、30年。
つまり、30年後に現在の1/2に、その30年後にさらに1/2に、その30年後にさらに1/2というわけです。
これだと、一度体内に取り込んだセシウムは、30年間そのままのような気がしますが、人間の細胞は常に新陳代謝で入れ替わっています。
そのため、実際に、一度人体に取り込まれたセシウムが排出されるまでの期間は、大人で約100日とされるそうです。
子供の場合は、20日程度になるそうです。
あと、食品についての基礎知識ですが、食品にも人間の人体と同じく、天然の放射性カリウムがごく微量に含まれていると言う話です。
食品に含まれる放射能量を考える時に、その放射能が、今回の原発事故で放出されたセシウム等由来なのか、それとも元もと食品に含まれる天然の放射性カリウム由来なのか、その区別をきちんとする事も必要だと思います。
こちらのサイトで、過去の食品に含まれる放射性物質とその量を見る事ができます。
→ 食品と放射能