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【庭】無鄰菴
 鶴亀の島や、蓬莱島、須弥山、あるいは三尊石を見て、
 なんだか現代の感覚にはフィットしないんだよな−、
 お寺にある分にはいいけれど、自宅の庭がこれっていうのはちょっとね…
 と思ったのは、私だけではありません。
 明治の大元勲、山縣有朋公も考えた事は同じ(かどうかはわかりませんが)で、「これまでにない新感覚の庭を作ってやるぜ!」と設計したのがこの無鄰菴だそうです。
 施工は、植治(うえじ)で名高い七代目小川治兵衛です。
 
 今では、作庭家と言うと設計&施工が同じである事が多いですが、ちょっと前までは、設計は趣味人である施主本人がすることも決して少なくありませんでした。
 昔は、庭が好きな人は、お茶や芸術、文学などなど様々な事に通じている人も多く、特に明治時代のように西洋からの文化が一気に流入してきた時代には、創意工夫のバリエーションが広がって、実に楽しい時代だったのではないかと思います。

 このなだらかな芝庭と石を寝かせて穏やかな表情を作り出すという雰囲気は、これまでになかったものと言われているそうです。
 

 流れも浅く、やさしい雰囲気になっています。
 

 水源は三段の滝になっていますが、豪壮という雰囲気ではなく、静かに流れ出す感じです。
 
 
 水源から振り返った風景です。
 敷地が細長く、水源に向かって二辺が曲線になっている三角形が閉じるような形になっている独特の地形です。
 

 遠くに見える建物が、有朋の別荘にされていた家屋なのですが、敷地の広さに比べ、とても簡素な佇まいであることに驚きます。
 自宅は豪邸だったのかも知れませんが、当時の日本の政治家の美意識を感じさせます。

 ただ、残念だったのは、管理のされ方です。
 今、芝は冬枯れしてはいましたが、葉の残り方から見て、きちんと刈られていないようでした。
 剪定もどうかな、という感じですし、下草の残し方にも統一感がまるで感じられません。
 京都の庭園をいくつも見て回ると、京都だからと言って、すべての庭園が適切に管理されているわけではない事に気づきます。
 で、「適切に管理されていない」と思われる庭の大部分は、お役所(市や、都道府県、あるいは国)が管理しているところなんです。
 入札制度で、一貫した管理をする事が難しくなっているのが原因だと思うのですが、名勝などに指定されるほどの庭であるならば、お役所の担当部署が責任もって、一貫した管理を指示できるよう引き継ぎや勉強していただきたいものです。
 お寺さんは、まあ、民間ですから、その時々の方針というのはあるかと思うんですけれど、総じて、お役所が管理しているところよりは、行き届いています。
 例外なのは、一昨年訪れた修学院離宮でした。
 桂離宮も同じ宮内庁管轄だと思うのですが、対照的とまではいかないにしても、その管理の違いにかなり驚きました。
 逆に言えば、修学院離宮でできる手入れが、なぜ桂離宮でできないのか? と疑問に思わされたのでした。
 もちろん、問題は京都だけでなく、日本全国津々浦々同じなのだと思うのですけれど、京都は史跡名勝が多い分、気になってしまうんですよね。
| 庭&旅 | 23:00 | comments(0) | trackbacks(0) |
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